日本ゲノム編集学会

国際学会発表支援制度

日本ゲノム編集学会学生会員に対する国際学会発表支援制度

 日本ゲノム編集学会は、令和5年度より学生会員に対する国際学会発表支援制度を創設します。

 研究は日々世界中で行われており、日本国内で強い分野もあれば、海外で強い分野もあります。国際学会には世界中の研究者が集まり、国内では聞けないような最新の話題に触れることができます。大変刺激的な場であり、新しい着想を得ることも多々あります。また、ポスドクや大学院生といった世代の近い研究者と交流することで、海外の研究環境やキャリア形成がどうなっているのか、生の情報を得ることができ、進路の参考になることもあります。

 間違いなく有意義な経験ができる海外での学会参加ですが、渡航および参加費がネックとなり参加を断念する状況があるかもしれません。日本ゲノム編集学会では、そのような本学会の学生会員の海外渡航をサポートしたいと考え、国際委員会を中心に、本支援制度について検討を重ねて参りました。

そして今年度から新たに、世界のゲノム編集分野の中心的な会議でもある3つの国際会議を対象として、渡航費や参加費を支援する制度が立ち上がりました。

 詳細は募集要項(下記)を見ていただき、対象国際会議での発表を考えている場合は、ぜひ本支援制度をご活用ください。

募集要項

募集要項(PDF)
※Frontiers in Genome Engineering 2023の情報を更新しました(2023年6月29日)

応募時に提出する書類

申請書(Word)
 「要旨」は発表する国際学会に提出するもの(英語)をご記載ください。

採択され渡航後に提出する書類

報告書兼振込口座登録書(Word)

 

国際学会発表支援制度 参加報告

Frontiers in Genome Engineering 2023

宇吹俊一郎
(広島大学大学院統合生命科学研究科数理生命科学プログラム)

 まず、今回の国際学会発表支援制度に応募した動機から述べます。実は私自身、英語が得意ではない上に、海外に一度も行ったことがなかったので、国際学会への参加に対してとても不安を感じていました。それでも、この先研究を続けていく上で避けては通れないという気持ちと、世界トップランナーの研究がどのようなものか見てみたいという意欲から応募させて頂きました。そして有り難いことに日本ゲノム編集学会より支援金を賜り、インドで開催されたFrontiers in Genome Engineering 2023に参加しました。以下、その内容を報告いたします。
 Invited Speakerらの発表は、これまで見たことがないくらい独創的かつ、CRISPR技術の拡張と応用の広がりを感じさせるものでした。未公開のデータも多分に見せて頂き、多くのインスピレーションを得ることができました。同時に、将来的にこの分野で彼らと競い合わなければならないという意識を強く持ちました。博士課程前期二年の段階でこの意識を持てたのはとても大きなことだと思います。そして、ゲノム編集の分野は新しい段階に進んでおり、幅広い応用が行われていることが実感できました。
続いてポスターセッションについてです。インド英語はヒングリッシュと呼ばれるほど発音が特徴的で、人によっては全く聞き取れないこともありました。しかし、英会話が目的ではなく、研究内容に関する意見交換が主であると考え、自分の意見を最大限伝える努力をしました。どのポスターも、日本の学会参加では見られなかった独創的な内容でした。特に医療応用に関するものが多く、日本との研究内容の需要の違いを感じました。また、自分の発表では幸いにも多くの方に称賛の言葉を頂き、ポスター賞も受賞することができました。さらに、最終日にはクルージングがあり、多くの参加者と研究環境やその内容、将来などについて楽しくお話ししました。連絡先も交換し、今でも時々連絡を交わしています。
 その後、本支援金では学会参加の他に海外ラボの訪問等も可能でしたので、 FGEのオーガナイザーの一人であるIGIBのDebojyoti Chakraborty先生や、インド観光を通じて現地の方々にお会いしました。Chakraborty先生には、ラボの設備や学生の進路、これからの研究やゲノム編集という分野がどういう方向に向かっていくのか等についてお話させて頂きました。そして、日本ではなく海外で研究することの意義や目的を考えるきっかけとなり、将来自分のなりたい研究者像をより具体的にイメージすることができました。また、現地のインドの方はとても親切で、渡航前と比べてインドの印象がガラリと変わりました。インド文化やインドから見た日本等について色々と教わりましたが、やはり貧富の差は激しく、特にニューデリー駅で物乞いする子供に会った時には衝撃を受けました。世界には解決しなければならない問題が山積みになっていることを肌で実感し、自分の研究を将来的にそのような問題に役立てようと強く思いました。
 最後に、もし英語が苦手で迷っているという方もぜひ海外で開催される国際学会に参加してみてほしいと感じました。参加するだけでも非常に多くのものを得られると思います。また、この分なら完全自費でもお金を貯めてまた国際学会に参加したいと思えるほど、実に有意義な時間を過ごせました。これらの新しい価値観を得られたのも、日本ゲノム編集学会の皆様のお陰でありますので感謝の意をここに綴り、締めさせて頂きます。

CSHL meeting "Genome Engineering: CRISPR Frontiers 2023"

山本翔吾
(大阪大学基礎工学研究科物質創成専攻機能物質化学領域)

 初めに、国際学会発表支援制度という大変貴重な機会を与えてくださりましたこと感謝申し上げます。ありがとうございました。
 今回、CSHL meetingに参加するにあたって主に二つの目標を掲げていました。一つ目は海外の研究者と積極的にコミュニケーションを行うことです。このような目標を掲げた理由は、第8回日本ゲノム編集学会でポスター発表をした際、海外の研究者の方からいただいた質問に全く答えることができなかったからです。自分の研究テーマに興味を持っていただき、さらに質問までいただけたのにも関わらず、私の英語表現力が拙かったことから、議論が全く進まず、質問者の疑問も解決できずに終わってしまいました。研究者を目指す私にとってこの経験は大変悔しいものであると同時に英語でのディベート力を鍛える必要があると感じました。そこで、CSHL meetingでのposter sessionに向けて自分の研究内容を可能な限り英語でまとめ、質問を想定することで出来る限りの準備を行いました。その結果、多くの研究者の方から興味を持っていただけるセッションを行うことができ、さらに積極的な意見交換から「この技術を私の実験でもぜひ使ってみたい」と多く言っていただけました。この経験は私にとって非常に刺激的であり、準備してきたことが発揮できたことによる満足感と自分の足りない能力を理解させられました。
 二つ目の目標はゲノム編集技術の最前線を学ぶことでした。CSHL meetingはゲノム編集分野の中でも大きな国際学会であり著名な研究者が多く発表することやposter sessionでも新規性の高い研究テーマがたくさんあり、自分の研究に活かせる技術やアイデアを吸収することが出来ました。また、数多くのハイレベルな発表から現在のゲノム編集というフィールドを今までには経験したことがない解像度で俯瞰的に捉えることができ、これからの研究計画を見直す大変良いきっかけとなりました。
 最後に、学会期間の間に多くの外国人研究者の方々とふれあい言語、文化、バックグラウンドの違いを体感しました。英語が不自由な私に対しても大変温かく接してもらい、「今後はどんなキャリアを考えているんだい」、「君の研究は今後どのように展開していくんだ」など自分自身や自分の取り組む研究に興味を持っていただけて、日々の研究生活が一つ形として認められたような感覚になりました。今後、この国際学会支援制度が継続されるか私にはわかりかねますが、もしチャンスがあればチャレンジしてここでしか得られない貴重な体験をぜひ体感してもらいたいです。

賛助会員

  • (株)島津製作所

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  • ネッパジーン(株)

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  • エディットフォース(株)

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  • ジャクソン・ラボラトリー・ジャパン(株)

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  • Twist Bioscience

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  • 523_C4U

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