日本ゲノム編集学会

メルマガ3号(2017年6月21日配信)

「植物バイオテクノロジーとゲノム編集」村中俊哉先生(大阪大学)

「植物バイオテクノロジーとゲノム編集」

大阪大学大学院工学研究科 村中 俊哉  

学会員のみなさまこんにちは。
産学連携委員を担当している理事の村中です。産学連携委員会では、1) 産学連携によるゲノム編集技術の普及、利用、さらには開発推進、2)産官学によるワークショップ、セミナーの開催、3) 企業に対する技術指導の調整、4) 産学連携の公的予算獲得の推進、5) アカデミアシーズの企業への紹介などを活動方針としています。今年度11月に東京都内で産業界を対象としたシンポジウムを開催します。詳細はゲノム編集学会HP等で通知いたします。奮ってご参加ください。

さて、日本ゲノム編集学会第2回大会開催まであと少しとなりました。本大会では、植物セッションを担当させていただくこととなりました。植物セッションは、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)次世代農林水産創造技術「新たな育種体系の確立」http://sip-nbt.agbi.tsukuba.ac.jp/ との共催で行います。6月30日(金)の午前中の植物セッションでは「新たな育種体系の確立」の代表である筑波大学江面浩教授と、イネのゲノム編集で成果を挙げている農研機構の加屋秀隆博士の二名に招待講演をしていただきます。SIPでは、ゲノム編集等の新技術開発から、具体的な農水産物の社会実装までを見据えた研究事業を行っており、その成果と展望が議論されるものと思います。また、同日午後からの英語セッションでは、同じくSIPの共催として、Cibus社のChief Scientific OfficerであるGreg Gocal 博士による同社が開発したオリゴヌクレオチドを利用した精度の高いゲノム編集技術Rapid Trait Development System (RTDS) https://www.cibus.com/about.php を中心とした講演がなされます。乞うご期待。

ここから少し私の個人的な話を書かせていただきます。私の研究領域は植物バイオテクノロジー。特に植物が作り出す低分子化合物の生産制御研究で、DNA修復、複製研究とは縁もゆかりもありませんでした。私とゲノム編集との出会いは、2012年1月30日。学振関連の研究会の案内をいただき、出欠通知にいったんは◯をしながらも、いくつかの仕事に忙殺され出席するのがたいへん億劫な状況で、会場でこっそり内職しようか(すみません)と参加したのが、「人工ヌクレアーゼ研究の現状と展望」でした。そこで拝聴したのが、広島大学の山本卓教授、埼玉大学の刑部敬史研究員(当時)のZFN、TALENの講演でした。内職どころではありませんでした。椅子からひっくり返る思いでした。恥ずかしながらそれまでゲノム編集のゲの字も知らず、なんとすごい技術が世の中に存在するのか、と思い知らされました。

ラボに戻り、研究テーマ変更を考えていた学生にゲノム編集の話をすると非常に興味を持ってくれました。さっそく山本教授らと共同研究を開始し、理化学研究所、キリンなどと共同でTALENによりジャガイモステロイド毒の生合成遺伝子を破壊することにチャレンジしました。果たして四倍体のジャガイモで、しかも、類似遺伝子が存在するなかで、特定の遺伝子のみをターゲットした破壊ができるのか半信半疑でしたが、みごとin-delが生じたシークエンスを見たときには身震いがしました。

ゲノム編集技術は、技術としてとてもわくわくするものであり、また、一方でいかに社会実装するかが直近の課題です。学会会場でみなさまと議論できることを楽しみにしています。

 

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