丹羽諒 (京都大学iPS細胞研究所 大学院生)
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動画コンテンツ紹介
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■教育実習委員会アウトリーチ動画
教育実習委員会では、アウトリーチ動画として川原 敦雄 委員(山梨大学 教授)による「ゲノムを自在に操れるゲノム編集技術とは何だろう?」と題した動画教材を学会HPよりYouTube動画として無料公開しております。ゲノムの定義やセントラルドグマの概念などの基本情報から、ゲノム編集の原理、応用例、実際の研究例に至るまでが平易に解説されており、高校生などへの入門動画として最適な動画教材ですので、是非ご活用ください。
リンク:http://jsgedit.jp/comittee_02
■ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)によるゲノム編集関連動画
DBCLSでは、ゲノム編集のウェブツールの紹介動画を制作し、無償公開しております。
ツールの使い方についてお困りの際には是非ともご活用ください。
作者:統合TV
編集:小野 浩雅(DBCLS 特任助教)
タイトル:CRISPRdirectを使ってCRISPR/Cas法のガイドRNA配列を設計する
リンク:https://togotv.dbcls.jp/20140412.html
内容:CRISPRdirectは、入力した塩基配列に対して効率よくCRISPR/Cas法のガイドRNA(gRNA)を設計することができるWebツールです。CRISPR/Cas法とは、ゲノム上の任意の領域を簡便に切断することができるゲノム編集技術です。CRISPR/Cas法に用いるガイドRNAは、PAMとよばれる配列に隣接し、かつ特異性の高い配列から設計する必要があります。 CRISPRdirectは、Webブラウザ上で実験条件に合った様々なパラメータを考慮しながらオフターゲット作用の小さいガイドRNA設計を行うことができます。
作者:丹羽 諒 会員(京都大学iPS細胞研究所 大学院生)
編集:中前和恭 教育実習委員(広島大学 共同研究講座助教)、小野 浩雅(DBCLS 特任助教)
タイトル:CRISPORを使ってゲノム編集(CRISPR-Cas9)での標的サイトを検索する
リンク:https://togotv.dbcls.jp/20210319.html
内容:CRISPORは、仏国 TEFOR INFRASTRUCTUREが提供する、CRISPR-Cas9システムを用いたゲノム編集実験のためのウェブツールです。このツールは入力配列の中からガイドRNAを見つけるために用います。興味のあるゲノム内の潜在的なオフターゲットを評価したり、ガイドRNAのオンターゲット活性をスコアに基づきランク付けをしたりすることができます。動画では血管内皮増殖因子A(VEGFA)を例に検索しながら、基本的な使い方について紹介しています。
作者:統合TV
編集:中前和恭 教育実習委員(広島大学 共同研究講座助教)、小野 浩雅(DBCLS 特任助教)
タイトル:CHOPCHOPを使ってゲノム編集 (CRISPR-Cas9/TALEN) での標的サイトを検索する
リンク:https://togotv.dbcls.jp/20201119.html
内容:CHOPCHOPは、ノルウェーのベルゲン大学Valen Groupが開発するゲノム編集実験のためのウェブツールの一つで、ノックアウトだけでなくノックインやノックダウン実験、またTALENでのノックアウトにも対応しているほか、PAMの指定等も自在に行えるのが特徴です。動画では血管内皮増殖因子A(VEGFA)を例に検索しながら、基本的な使い方について紹介しています。
作者:鈴木 貴之 会員(広島大学 統合生命科学研究科 大学院生)
編集:中前和恭 教育実習委員(広島大学 共同研究講座助教)、小野 浩雅(DBCLS 特任助教)
タイトル:PrimeDesign を使ってPrimeEditing用のガイドRNAを設計する
リンク:https://togotv.dbcls.jp/20220217.html
内容:PrimeDesignは、逆転写酵素を利用したゲノム編集技術である Prime Editingをデザインするための設計支援ソフトウェアです。Prime Editingではゲノム編集をより正確かつ効率的に行うためにpegRNA (Prime Editing Guide RNA) とngRNA (Nicking Guide RNA) を使用します。PrimeDesignは、ゲノム編集を行いたい標的配列情報を基に、pegRNAとngRNAの配列をデザインするために有用なツールです。
作者:丹羽 諒 会員(京都大学iPS細胞研究所 大学院生)
編集:中前 和恭 教育実習委員(広島大学 共同研究講座助教)、小野浩雅(DBCLS 特任助教)
タイトル:inDelphiを使ってゲノム編集後の変異を予測する
リンク:https://togotv.dbcls.jp/20211105.html
内容:inDelphiはCRISPR-Cas9によるDNA二本鎖切断 (DSB) によって引き起こされる1塩基挿入と1-60塩基の欠失変異パターンを予測するツールです。Web版とCLI版がありますが、動画ではWeb版を紹介しています。inDelphiには3つのモード(Single mode・Batch mode・Gene mode)があります。
Single modeでは確認したい周辺領域配列を入力します。切断する箇所を決めて、1つの切断箇所に対する予測モデルを検索します。
Batch modeでは確認したい周辺領域配列を入力します。ガイドRNAが設計可能な全ての箇所に対して予測モデルを検索します。
Gene modeでは興味のある遺伝子名とゲノム (ヒトゲノム・マウスゲノム)を入力します。エキソン上のガイドRNAが設計可能な全ての箇所に対して予測モデルを検索します。Gene modeでは各遺伝子のエキソン番号、切断箇所に関する情報が付与されます。このため、フレームシフト頻度を予測するためなどに使用することができます。
本ツールは5種類の細胞種 (マウスES、U2OS、HCT116、K562、HEK293) におけるSpCas9の変異導入パターンを機械学習により予測することを可能にしたツールです。このことにより、Cas9の使用を前提としているため、切断様式の異なるCpf1/Cas12aには対応していません。また、哺乳類細胞には適応可能であると考えられますが、植物など他の細胞種には不適当なモデルである可能性があります。
作者:丹羽 諒 会員(京都大学iPS細胞研究所 大学院生)
編集:中前和恭 教育実習委員(広島大学 共同研究講座助教)、小野浩雅(DBCLS 特任助教)
タイトル:TIDE を使ってゲノム編集で生じたIndelを解析する
リンク:https://togotv.dbcls.jp/20210423.html
内容:TIDE: Tracking of Indels by DEcomposition は、CRISPR/Cas9、TALEN、ZFNなどのゲノム編集ツールによって生成された細胞集団内の小さな挿入欠失(Indel)の種類と頻度を推定する方法です (原著論文: Easy quantitative assessment of genome editing by sequence trace decomposition)。Netherlands Cancer Instituteのvan Steensel labが開発し、Rコード版とウェブツール版が提供されています。動画では、ウェブツール版を使って、ゲノム編集で生じたIndelを解析する方法について紹介しています。サンプルデータとして、以下の論文中のデータを使用しています。(Genome-wide microhomologies enable precise template-free editing of biologically relevant deletion mutations)
編集者の小野 浩雅 特任助教よりコメント:
本稿でご紹介いただいたTogoTV(https://togotv.dbcls.jp)、CRISPRdirect (https://crispr.dbcls.jp) 以外にも、DBCLSでは、生命科学系データベースの統合的利活用およびその支援によって研究者の研究サイクルを加速させることを目的として、多岐にわたるサービスを提供しています(https://dbcls.rois.ac.jp/services.html)。これらはいずれも無償で、かつ登録等不要で、誰でも自由に使うことができます。DBCLSの活動は、どのくらい活用されたかについて主に利用実績や論文の引用数などで評価されており、利用者の方の積極的なサポートが必要不可欠です。皆さまのご研究にDBCLSのサービスが役立つことがあった際には忘れずにご引用、ご言及いただければ幸いです。
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書籍紹介
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編者:小野 浩雅
タイトル:バイオDBとウェブツール ラボで使える最新70選
実験医学増刊 Vol.40 No.17
リンク等:https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758104067/3.html
内容:本書では多種多様なバイオデータベースやウェブツールの使い方を紹介しております。第4章ではゲノム編集研究で頻繁に使われるウェブツール(CRISPRdirect, CRISPOR, inDelphi, PrimeDesign, TIDE, CRISPResso2)について本学会会員が解説しました。