日本ゲノム編集学会

会長挨拶


 本学会は2016年に発足し、定款にもある通り「ゲノム編集技術の研究・開発とその技術の発展、社会還元、人材育成への貢献」を目的としております。ゲノム編集分野は近年急速に進化しており、特に若い研究者の方々とともに、飛躍的な技術革新を学び、議論し、社会へと貢献していく場として、本学会がますます重要な役割を担っていくことを期待しております。

 思い返せば、2011年に前身であるゲノム編集研究会が数十名の有志研究者により岡崎で結成され、ZFNやTALENを用いた遺伝子改変技術を巡る議論が行われました。その時に抱いた未来への希望と情熱は、今も多くの研究者の心に生き続けています。さらに、2020年にノーベル化学賞を受賞されたEmmanuelle Charpentier博士とJennifer A. Doudna博士によるCRISPR-Cas9の開発は、ライフサイエンスをはじめ、食品、環境、産業分野など多岐にわたり「大きな革命」をもたらしました。私たちの学会も、こうした技術革新を迅速に会員の皆様へ提供し、研究者間の情報共有を促進し、日本のゲノム編集研究における基盤技術の発展に大きく貢献してきたと自負しております。

 近年、特に医療分野におけるゲノム編集技術の応用は、飛躍的な進展を遂げています。治療の難しい遺伝性疾患やがん治療における治療法の一つとして、CRISPRを含むゲノム編集技術が新たな可能性をもたらしています。世界中で進行中の臨床試験では、これまで治療が困難だった病気に対して画期的な結果が示され始めています。例えば、肝臓病や血液疾患、がん免疫療法における治療法としても期待が高まっています。また、日本においても、このようなゲノム編集を用いた治療技術の開発が進んでおり、私たちの学会はその進展を加速させるための役割を果たしていきます。

今後も学会の運営は、広報委員会、教育実習委員会、将来計画委員会、国際委員会、倫理および規制に関する委員会、産学連携委員会、医学応用委員会の各活動を通じて、次の目標を掲げて進めていきます。
・ゲノム編集技術の普及啓発活動
・若手研究者や一般の方々を対象とした講習会や公開講座の開催
・ゲノム編集技術の産業応用を促進する取り組み
・国際的な研究者との協働関係の強化
・倫理的・規制的観点からの問題提起と議論
・産学連携による技術普及と利用促進
・医療分野におけるゲノム編集研究の社会還元
本学会は、ゲノム編集というキーワードを軸に、学際的な研究者や業界の方々と共に活動を進めていきたいと考えております。また、一般の方々からも信頼される学会となり、ゲノム編集技術の社会的理解を深めるための活動を重要な責務と位置付けています。

これからの2年間、会員の皆様と協力し、若手研究者や学生の皆様を含む幅広い層が参加できる、開かれた学会を作り上げていくことを目指します。どうぞ、皆様のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2024年6月吉日
一般社団法人日本ゲノム編集学会
会長 真下 知士
(東京大学医科学研究所 教授)

過去の会長挨拶(2022年)
過去の会長挨拶(2020年)
過去の会長挨拶(2018年)
過去の会長挨拶(2016年)

賛助会員

  • (株)島津製作所

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  • ネッパジーン(株)

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  • エディットフォース(株)

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  • ジャクソン・ラボラトリー・ジャパン(株)

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  • Twist Bioscience

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  • 523_C4U

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